小島一文のG1フィッシング。島根、鳥取両県を中心に活躍中。釣(つり)情報を掲載。

静けさと強烈な引きとのギャップが魅力

隠岐島前内海で大ダイ狙い
日帰りが可能に・・・
それにしても離島の隠岐釣行が手軽になったものだ。
本土に直接迎えに来てくれるいわゆるチャーター船が定着してきたからだ。
渡船店によっては2席の船を効率よく走らせ凪の日であれば隠岐と本土を何往復もして釣り人のニーズに応える。
このシステムによって私が最もありがたく思うのは、隠岐釣行が日帰りで可能になったことだ。
私たちサラリーマンもすっかり週休二日制が定着してきたとはいうものの、週末になると自治会やPTAの行事や会合、町が主催する各種イベント参加などでやたら忙しい。今まで隠岐釣行となれば最低でも1泊2日の日数を要していたが、それが朝マズメから夕方まで竿が出せてその日の内に帰宅できるというのはありがたい。フェリーで行き渡船に乗り換えて釣行していたことを考えれば、釣る時間や経費、荷物の積み込みなど何かと効率がよいのである。    
隠岐島前の4月~5月、ノッコミチヌ狙いは、まだ水温が低く1日の中でも水温が最も上昇する
昼間に時合が到来することが多い。餌取りが多い時期とは違ってマダイなども夜釣りよりは日中にアタリが集中する。

大ダイと大チヌが同じポイントで・・・
隠岐島前内海の魅力は、荒磯とは違ったそののどかな自然環境と、なんとも言えないのんびりした雰囲気にある。多くの磯釣り師たちは潮通しのよい沖磯に憧れ、一発大物狙いに夢を馳せるものだが、内海には内海の良さもある。 まず第1に安全と言うこと。強風波浪注意報が発令されているような荒天でも、隠岐島前の内海筋はどこかに風裏が出来て竿が出せる。足場もよく大きなうねりが入ることがないので初級者や高齢者、女性、子どもなども安心して楽しめる。最近は携帯電話の普及とエリア拡大で内海のほとんどの磯から電話連絡が可能だ。内海は磯伝いに歩いて移動が出来るので電波が届くところが必ず確保できるはず。万が一の緊急時も安心だ。渡礁時は磯が低いので渡船のホースヘッドから飛び降りることになるので足をくじかないように注意が必要。
慌てずに他の釣り人の協力を得るなどゆっくりやればよい。外海と違って一刻を争うような事態にはならない。
次に釣果だ。チヌに関してはすでにご承知のとおり、型・数ともに申し分のない実績だ。これらの実績を見ても全国5本の指に入ることは間違いないだろうと思う。そして今後、内海で本格的に狙ってほしいのはマダイだ。チヌ狙いの細仕掛けに度々ヒットしてきて釣り人を驚かせるが、隠岐島前内海はマダイにとっても産卵に好条件のようですこぶる魚影が濃い。型も80㎝,90㎝クラスがうようよしていると思われる。これがこの静かな内海で、しかもフカセ仕掛けにヒットしてくるのだからたまらない。海の静けさと突然やってくる大ダイの強烈な引きとのギャップがこの内海の魅力の一つといってもよい。今回は隠岐島前内海のマダイポイントとその釣り方を中心に紹介しよう。

スリル満点なフカセ釣り
 磯のマダイ狙いになるとカゴ釣り仕掛けをイメージする人が多いが、ここ内海ではぜひともフカセ釣りで挑戦してほしい。同じサイズのマダイを狙うにもフカセ釣りのスリルと醍醐味は桁外れのものがある。そしてこの場合は外道になるかもしれないが、カゴ釣りではヒットしてくる可能性の少ないチヌやグレもフカセ釣りなら高確率でヒットしてくる。大型マダイと50㎝オーバーのチヌが同じ磯で同じ仕掛けにヒットしてくるポイントは全国どこを探してもそう多くないと思う。
仕掛け設定は80㎝クラスの大ダイを想定してイメージする。チヌ狙いの仕掛けをそのままバージョンアップすればOK。私の場合、竿は粘り腰の強いがま磯スーパーインテッサ1.75号。中型スピニングリールに道糸東レミラクルハンド4号を150㍍。ハリスは東レトヨフロンスーパーL・EX5号を3ヒロ。ハリはがまかつプロマダイの10号。静かな内海にしては太仕掛けだと思われそうだが、この仕掛けでも100㌫捕れるとは限らない。自分としてはもっと太いハリスを使いたいのだが、風や横潮を攻略するには道糸をこれ以上太くしたくないので、このあたりの号数に落ち着きそうだ。道糸よりもハリスの号数が逆転しているが、全体のバランスとしてはちょうどよいと思う。
さて内海を甘く見てはいけない。安全面では前述したように、比較的のんびりした気分でゆっくりと竿を出せるのだが、ヒットしてくる魚は容赦を知らない。内海の磯の多くはある一定のところまでタナが伸びておりその先から急激なカケアガリとなって深く落ち込んでいる。カケアガリでヒットしてきた魚はこの深みに一気に逃げ込もうとする。この時ハリスや道糸がカケアガリにこすれてバラシてしまうことが多いのだ。ある程度強引に大ダイの走りを止めてやらなくてはこのカケアガリに糸が引っかかって軍配は大ダイに上がってしまうことになる。太糸仕掛けはその物理的な強さだけではなく、「太糸を使っている」という釣り人の精神的な気持ちの強さにもつながるのだ。いくら太い仕掛けを使っていようと釣り人の気持ちが負けていたのでは、捕れる大ダイも結局は逃してしまうことになる。

撒きエサ、付け餌共にチヌ狙いと全く同じでよい。半日(6時間)の量としてオキアミ生3キロ2枚とマルキューのオカラだんご2袋、チヌパワームギ1袋を使う。このほかにオキアミボイル3キロを別のバッカンに海水に浸しておいて粒のままパラパラ撒くようにしている。遠投が必要な場合は、投げる直前に配合エサに適量を加えて撒くとよい。これはボイルの比重を保つためである。
マダイ狙いはおおよそ6ヒロから7ヒロのタナを狙うことが多いので、撒きエサも高比重のものをイメージして配合するようにする。付け餌はマルキューの「スーパー生」が抜群によい。身がプリントしてしっかりしており遠投してもハリから外れにくい。その他餌取りの状況を見ながら「くわせオキアミ半ボイル」も使う。

それでは隠岐島前内海の大ダイおすすめポイントを紹介しよう。
条件的には内海の海岸線すべてがポイントといっても過言ではないが、ここでは特に私が思うところの穴場ポイントを紹介しよう。

「須賀鼻奥」(海士町)
 須賀港内に位置するこのポイントは、須賀鼻よりもさらに奥まったところにあることから、たいていの釣り人がパスしてしまうポイントだ。このポイントの魅力は足元から急激なカケアガリとなり、かなりの水深があるということである。足場もよく、非常に釣りやすい。そんなに遠投する必要もなく、竿先からウキ下6ヒロ以上とっても根掛かりすることはない。20㍍ほど投げれば竿3本分のウキ下がとれる。マダイは湾内に浮かぶ居島方向から須賀鼻先端部方向までの深みを狙う。ウキ下は竿2本半から3本分がよい。湾内から須賀鼻の先端部に流れる潮が流れればかなりの高確率でマダイがヒットしてくる。左側のワンド内は、奥に入るほどだんだん浅くなるがチヌの大型が潜む。数はあまり期待できないが、当たれば50㎝オーバーの確率が高い。私も過去に55㎝を釣り上げているし、鳥取の釣り人が須賀鼻方向から60㎝オーバーの実績もある。
今年4月22日、一緒に渡礁していたメンバーの一人が大ダイらしきアタリに遭遇して5号ハリスにもかかわらず直結部からいとも簡単にバラシてしまった。その時のやり取りの状況から逆転で引き出されながらブッチ切っていったところを推測すると、カケアガリの岩に糸がこすれて結び目が引っかかった状態で切れたものと思われる。狙いを大ダイに絞って太ハリスで挑戦していただけに、なんとも悔やまれる一撃だった。それにしても、ものすごい走りだ。この日は40センチ級のチヌやマダイの釣果にとどまった。

「藪の下」(西ノ島町)
 このポイントも「知る人ぞ知る」といったポイントの一つだ。すぐ北側には60㎝オーバーのチヌが釣れて話題になった「タキビ」がある。私が開拓した当初は、木の枝や葉っぱなどが邪魔になって竿を振ることが出来なかったが、ノコギリを持って行きタモの柄に繋いで枝を切り落とすことにより何とか竿が出せるようになった。「藪の下」はそのイメージから私が名付けた磯だ。竿出しは2人。ここも大きなワンドの奥に位置するポイントだが、このワンドの中はかなりの水深がある。左の浜の方はゴロタ石の浅瀬、右の「とびおり」方向にも一旦浅くなっているが、ちょうど「藪の下」の前はすり鉢状の深みになっている。足元は岩がややオーバーハングしているのでやり取りに注意が必要だ。ウキ下は竿2本前後を探るようにする。あまり潮が流れないポイントだが、やや遠投して付け餌と撒きエサの同調を心がければ必ず何かのアタリに遭遇する。ここでは過去に何度となく正体不明の大きなアタリに遭遇して痛い目にあっている。マダイ、チヌの他40㎝オーバーのグレの実績もある。今年4月15日、GFG中国島根県支部のチヌ釣り大会で、後谷進さん(飯石郡頓原町)がこのポイントから65㎝のマダイと51㎝のチヌを釣り上げていた。

今年はマダイが特に好調のようである。
水温が上昇する5月中旬からマダイのノッコミシーズン最盛期に向けてこれからが楽しみだ。