好調!隠岐島前でグレ釣りの原点を見つめ直す 各島・寒グレ釣行ガイド
絶不調の秋磯シーズン
最近不調である。もちろん釣りのことであるが、この秋私の磯釣りの成績は散々たるものである。9月、東レの中国地区テスター懇親会で広島県宮島、マルキューの山陰地区テスター懇親会で鳥取県海士島。10月、G杯グレ西中国予選で山口県青海島、報知グレ釣り選手権で愛媛県宇和島市日振島。11月、プライベートで愛媛県西海町中泊、GFG中国グレ懇親大会で再び日振島、がまかつフィールドテスター懇親大会で徳島県牟岐、鳥取フィールドチャレンジャー主催大会で兵庫県浜坂町三尾。この秋磯シーズンはメーカー関係の懇親大会やグレ釣りトーナメントで忙しかった。しかし私はこれらの大会でことごとくボウズに近い結果であった。トーナメント大会では初戦負けが続いた。磯釣りを本格的に始めて、これほど悪いシーズンがあったのだろうか。
自分自身の不調もあるが、主に大会会場となった四国方面が例年になく全般に不調だった。高水温と水温の不安定が原因だろうか、ポイントや日によって大きなムラがあり、私以外の釣り人も成果が上がらなかった人が多かった。
それにしてもあらためて釣行記録を振り返ってみると、これだけ各地を飛び回っているのに地元島根県の磯に一度も釣行してないことだ。こんなシーズンも珍しい。皮肉にも今シーズンは、比較的山陰地方や隠岐の磯が好調で各地から好釣果の声が聞かれた。結果がでないと自分の釣りに自信がなくなり不安になるものだが、こんな時こそ一度原点に戻るときなのかもしれない。釣れたときより釣れないときの方が反省点も多いもので、各種の大会などが一段落したこのときに、釣りの原点に戻って自分の釣りを見つめ直してみたい。
渡船店はサービス産業積極的な情報発信を・・・
プライベートでのんびりと思う存分釣りをするには、やっぱり隠岐がいい。特にグレ釣りの原点に戻るには、今シーズン絶好調の隠岐がいい。12月はさっそく隠岐釣行を計画してみよう。11月までの情報では、なぎの日が多かったこともあり隠岐島後、島前とも各地から好釣果が聞かれた。ワカナなどの青物の回遊も多く多少のムラもあったようだが、それでも今シーズンは数、型共に好調といえるだろう。これから寒グレシーズンに入りさらに楽しみだ。
隠岐の釣りについては、これまでにも本誌などで様々な情報提供はしているのだが、それでも「今度釣行する予定だがどこがいいですか」とか「渡船の連絡先は」といった問い合わせも多い。やはり釣り人は最新情報を求めるものであり、情報収集が釣果を分けるのも確かである。渡船店や釣具店に釣り人側から連絡するのがとりあえずの情報収集の手段ではあるが、逆に渡船店、釣具店側からの積極的な情報発信を望みたい。特に現地からの情報発信が期待される。今ではインターネットが普及し、携帯電話からでも様々な情報が得られる時代だ。渡船店などは本来サービス産業なのだから、 1現地の情報を自らが発信するくらいのサービスは今後必要だと思う。また、天候に左右されることの多いこの地方の釣りは、船が出港できるかどうかの情報やどの範囲の磯が渡礁可能なのか最新情報がほしい。インターネットまでの設備がまだなければ、主な釣具店やなじみの釣人などのFAX番号を登録しておいて一斉FAXで情報を流すことも可能だ。また、各町村の行政や観光協会なども地域振興の観点から釣りに関する専用ホームページを開局するなど、情報提供に取り組むのも良いだろう。本誌など雑誌の情報はどうしても編集期間が必要なため、いつも的確な最新情報とはいかない場合も多い。今後こういった現地からの釣果や釣り場までの交通アクセス、宿泊案内などの情報提供があれば釣人は便利だ。
隠岐島前・寒グレ釣行ガイド
さて隠岐の釣りについて私がいつも自信を持って答えるのは、島全域が好ポイントだと言っても決して過言ではないということ。これから初めて隠岐釣行するという人がどこへ目指して行ったらよいのか迷うのも当然だ。県内といっても離島の隠岐は経費も時間もそれ相応に覚悟して行かなくてはならないから、それらを無駄にしないためにもある程度念密な計画も必要だ。
それでは私がイメージする今シーズン、隠岐島前の寒グレ釣行パターンをガイドしてみよう。
パターンその1(隠岐島前海士町)
海士町の渡船は広範囲の磯をカバーしているところに魅力がある。波高が2.5m以内なら本土七類港まで迎えにきてくれる大型高速船があるので便利がよい。フェリーで隠岐に渡るよりも時間が有効に使えるほか、大型クーラーなど荷物の積みおろしも楽である。目指すポイントは星神島、二股島、小森島、大森島、松島など離れ磯の超一級磯が連なる。もちろん天候次第でこれからの時期は渡礁できる日が限られてはくるが、渡礁できさえすれば満足のいく釣りができる可能性は高い。そのほか海士の渡船基地からもっとも遠隔地になる西の島のソナシ周辺から冠島周辺は北西の季節風に弱く滅多に渡礁できるチャンスがないがそれだけに期待も大きい。大型グレの一発ねらいから良型の数ねらいまでOKだ。私は離れ磯よりもむしろこの西の島の地磯周りに好んで渡礁する。
そして北西風が強い場合は、海士の東海岸がポイントとなる。私の好きなポイントは高田鼻周辺である。ここならかなりの強風でも竿が出せ、グレの40センチオーバーの実績も多い。さらに見逃せないのが内海の釣り。グレ狙いなら西の島の雉が鼻周辺が良い。ここでもこれから寒の時期は40センチクラスのグレが期待できるので、急に海が時化て沖磯が無理な場合はここを希望すると良い。
(海士町の渡船)ふたまた丸:但馬屋(北分)08514-2-0437 FAX2-0123
大型高速船2隻体制で約60人収容可能。民宿但馬屋も営んでおりここも最大で約60人収容可能。クラブの大会や団体の釣行に便利がよい。渡礁範囲も広く、特に基地は内海に面しており内海のポイントには詳しく、時化てもどこかで竿を出すことができる。七類までの往復OK。
崎野:浜吉丸(豊田)08514-2-0572
今、海士町では一番積極的に釣人のニーズに応える渡船店といってもよい。天候の良い週末はほとんどといってよいほど七類に就航し、団体ではなくても乗り合いで釣人を隠岐まで往復で運ぶ。船も大型で波高3mまでOKだ。団体でチャーターすれば出発時間や納竿時間などの相談に応じてくれる。渡礁範囲は広範囲で、天候を読んだ的確な船長の判断力が釣人の信頼を得ているようだ。民宿予約OK。
新海丸:小島荘(豊田)08514-2-0410
高速船2隻体制で七類までの往復OK。民宿小島荘を営んでおり宿泊釣行には便利がよい。特に海士町東海岸や松島周辺の磯に精通している。
パターンその2(隠岐島前西の島町)
西の島の国賀、三度周辺の磯は隠岐島前でも釣人の憧れの地と言ってもよい。断崖絶壁が連なる海岸線は大物を連想させ釣人の心を揺さぶる。しかしここの磯は西から北向きの磯となり、これからのシーズンは渡礁できるチャンスが激減する。サンデー釣り師にとっては休日と天候がうまくかみ合うかどうかが問題だが、運よく渡礁できれば必ず釣人を満足させてくれることだろう。特に50センチオーバーのグレをねらうならここだ。私が今シーズンねらっているのは、三度のハギリ、大神立岩周辺での尾長グレだ。近年、山陰海岸で尾長グレの回遊傾向を見たとき、潮通しのよい三度周辺の磯は必ずチャンスがあるはず。年末年始のまとまった休日を利用して是非とも挑戦したい。半日でも竿が出せたらヨシとする。
(西の島の渡船)ダイキン(三度)08514-6-1260
三度周辺の磯をねらうならここダイキンだ。基地が近いことからこまめに磯回りをしてくれて、磯替わりにも快く応じてくれる。急な時化にも即対応してくれるので安心して釣りができる。収容人員は限られるが民宿も営んでいる。じっくり腰を据えて大物をねらいたい。凪で人数が揃えば七類までの往復もOK。
パターンその3(隠岐島前知夫里村)
知夫はグレの穴場ポイントが多い。そしてどの風にも対応できる全天候型ともいえる。しかし残念ながら知夫には大型渡船がなく、しかも専門で営む渡船店自体が少ないことから多くの釣人を収容することはできない。ポイントはウグイガ崎から立ガ崎が1級だが北西風に弱い。北西風が強いときは風裏となる竹島、小波加島などがねらい目だ。近年竹島では50センチクラスの実績が高い。そしてまだまだ未開拓のポイントが多いことも魅力の一つだ。時化たときなどは島津島や薄毛周辺の磯が良さそうだ。船長も実績がない磯には渡しにくいものだが、釣人側からリクエストしてみてもおもしろい。
(知夫里村の渡船)幸希丸(来居)08514-8-2359 夜間8-2607
知夫では他にも(薄毛)小さな渡船があると聞くが、最近ではこの幸希丸しか利用したことがない。他の島の渡船に比べて船はやや小さいが、機動力はいい。様々な釣人の要望にも応じてくれる。島にある民宿を紹介、予約などもしてくれる。民宿などへの案内には車を回してくれるなど親切だ。知夫の民宿はどこでも料理は抜群にいい。海の幸の品数には驚くばかりだ。
寒グレ仕掛けワンポイントアドバイス「細糸症候群」に感染注意
私の寒グレ仕掛けは図のとおりであるが、一番注目していただきたいのは道糸、ハリスの号数だ。最近各メーカーとも品質が向上して目覚ましく強度アップしてはいるが、やたらと細糸使用の傾向が目立つのは少し気がかりだ。いくら品質向上しても1.5号は1.5号であるという認識は持っていた方がよいと考える。隠岐で40センチから50センチ級のグレをねらうなら最低でも道糸2.5号、ハリス2号はほしい。私は標準として道糸3号、ハリス2号から3号をセットする。3号の道糸なら4号のハリスまでOKだ。過去に1.5号で45センチのグレを取り込んだことのある釣人は、どうしても1.5号でいつでも45センチのグレが取り込めると自信過剰になるものだが、これは甘い考えだ。様々な自然条件でいつも確実に取り込めるとは限らないし、取り込めたとしたらそれはむしろラッキーだと思うべきである。そしてもっと怖いのは、ハリスを落とさないとグレが食ってこないような気がしてしまう「細糸症候群」にかかってしまうことだ。まだ経験の少ない釣人がこの症候群にかかってしまうと、それで釣り技術向上をストップさせてしまうことにもなりかねない。「まずは食わせてから」という考え方もあるが、私の経験上釣り技術向上を目指すなら、食わないときにすぐにハリスの号数を落とすのではなく、太いハリスで食わす努力をするべきだと考える。ウキ下の調整、撒き餌と仕掛け投入のタイミング、道糸修正や誘いなどハリスの号数を落とす前にやらなくてはならない釣りイメージはまだまだたくさんあるはず。特に朝夕のマズメには太仕掛けで記録更新をねらいたい。そしてそのビッグワンがあなたの勲章となり自信となるはずである。それが離島・・・、隠岐島前のグレ釣りだと思う。それが私にとってのグレ釣りの原点だ。
捲き餌
オキアミ生3㎏にマルキュー、グレパワースペシャル1袋または寒グレ1袋
予備にグレパワー遠投1袋、活性起爆剤グレ1袋
※この量で約3時間から4時間の釣りに対応
付け餌
オキアミ生のほかマルキューのスーパーハード、スーパー生磯エビ(海エビ)のむき身
隠岐島前渡船、民宿基本料金
七類-隠岐島前(所要時間約1時間30分)
片道5,000千円
渡船料金 1日1回 4,000円
夜通し(磯泊まり) 6,000円
(通しで2日目昼過ぎまでの場合延長料金2,000円)
民宿料金(1泊2食付き)7,000円
隠岐島前釣行パターン例(1泊2日)
(フェリー利用の場合:実質釣時間約10時間~12時間)
(1日目)フェリー午前9時20分七類港発-午前11時20分知夫来居港着
(各渡船待機:3島すべての渡船が迎えにきてくれる)-午後1時から2時には渡礁釣開始-午後5時から6時納竿
(2日目)午前6時出港-午前7時釣開始-午後1時納竿-フェリー:
海士港午後3時15分、浦郷港発午後3時45分発)-七類午後6時到着
必要経費
フェリー2,510円×2=5,020円
渡船4,000円×2=8,000円
民宿7,000円
合計 20,020円
(七類往復送迎の場合:実質釣時間約18時間~20時間)
(1日目)午前3時七類港発-午前5時渡礁釣開始-午後5時から6時納竿
(2日目)午前6時出港-午後1時から3時納竿-午後5時七類到着
必要経費
七類往復料 10,000円
渡船料 4,000円×2=8,000円
民宿 7,000円
合計 25,000円
※出港時間、納竿時間などは天候によって左右されるので、船長と念密な連絡を取って確認する必要がある。帰りはフェリーになる場合もある。